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入って来る気だよ。
どうしよう。どうしよう。
早くこの時間が終わることだけ祈って、空が白くなって、だんだんドアを叩く音の間隔が長くなって、とうとうやんだ。
フロントに電話して急いでチェックアウトしたいって言って、あとは、普通。
そんで、前にホテルの話をしかけた同僚つかまえて、
「あそこ何かあったのか?」って聞いてみたら、数年前に火事があって、大した火じゃなかったんだけど一人死んで、それから出るとか出ないとか。
まあ、そういう話だよ。
つまんなかったかもしれないけど俺の中では最高の怪談です。
でも、ちゃんとオチもついたんだ。
そもそもそいつは何で死んだか。
逃げ遅れたんだけどさ。単純に。パニックになってたか、壊れてたか知らないけど部屋の鍵が開けられなかったらしい。
だから「やっぱ幽霊だったんだな。開けなくて良かった」って漏らした俺に同僚は言ったよ。
「なんで?そいつ部屋の中から外に出たくてドア叩いてたんだろ?」
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