11人が本棚に入れています
本棚に追加
これは、夢だろう……
私は病室で寝ているはずだ。
気がつけば暗闇の空間に立っている。ただ一人で
「お~い、誰かいないか?」
声を出して呼ぶが返事はない。なんだか不気味な空間だ。
「お~い、誰もいないか?!」
返事が来ないことに焦りが出てくる……とてもじゃないが一人でここにはいたくない。
どうしたら良いか?
ヒラ……
なんだ?頭の方で白い何かが落ちて来た。白く舞っている正体は……
「桜…」
桜の花びらが一体何処から?
後ろを振り返ってみた。
するとそこには身に覚えのある桜の木が一本満開に花を咲かせて立っていた。
「どうしてこんなところに……?」
桜の木をみていると奥の方に誰かがこっちを見ていることに気付く。
「……誰だ?」
よくみると、長い髪に着物がよく似合う小柄な女がゆっくりと私に近づいて来た。
他界した妻ではないのは確かだ。なぜなら……
「文(ふみ)……」
彼女は私にとってかけがえのない人、
彼女との約束を守れなかったことが私の人生の“悔い”だった……
最初のコメントを投稿しよう!