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俺が目を覚ましたのは、白い部屋の中だった。
白い布団に白い壁、白い包帯に赤く滲む血。
あぁ…。わかった。
ここは病院だ。
俺、生きてるんだ。
外は夕焼け空。
大体5時ぐらいか?
ふとリモコンが目に入り、テレビをつけた。
『…て、明日の天気は晴れ。まだまだ暑さは残りますが、来週からは徐々に風も冷たく…』
『…あとは、県立高校を襲った竜巻のニュースです』
「隼?隼起きたの?」
聞き覚えがある声に振り返る。
「良かった…」
母さんが泣きそうな顔で部屋に入ってくる。
「そんな心配することでもないだろ、母さん」
「なに言ってんの!一番の重傷者なんだからね!」
ガラスが刺さっただけだろ?
第一もっと凄い奴がいるだろうし。
「全く…。あ、ちょうど昨日のことやってるじゃない」
「昨日?」
『昨日、県内の高校のグランドに突如発生した竜巻は、体育をしていた生徒らを巻き込み、一つの教室の窓ガラスを全て割る大惨事を引き起こしました。中にいたほとんどの生徒は避難していましたが、二人の生徒が逃げ遅れ、そのうちの一人が未だ意識不明の重体とのことです』
…。
しぶとい奴。
まだ生きてるよ。
『生徒らの話によれば、竜巻は何の前ぶれもなく、突然発生したと言っています。さらに、今日は復旧作業のため休校となり…』
かなりの力を使ったみたいだ。
「それにしても良く寝たな~」
「そりゃそうよ、昨日から今まで寝てるんだから」
「は?」
昨日から?
「でもこれで、あのニュースも『本日意識を取り戻した』ってなるね」
「意識を取り戻した?」
待て…。
それって、あのニュースって…。
「そうよ、あんたのことだけど」
「!?」
昨日、あの一件から俺は今まで寝ていた?
なら武人は?武人は生きてるのか?
「そういえば、あんたが目を覚ます前に武人くんが見舞いに来てたかな」
「武人が来た!?」
あいつは生きている。
死んでいない。
生きている。
そして、今日は…。
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