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俺、相沢 隼(あいざわ しゅん)は高校2年。
来年の大学受験のために予備校に通う模範性。
…俺にだって、消えてなくなってほしい人ぐらいはいるわけで…。
それはとても身近であり、気持ち的には、ほど遠い人物。
夜遅くに終わった気だるい予備校も今は過去。
俺は、いち早く帰宅したかったがために歩行が早くなっていた。
人気は少ないが車の通りが多いこの道。
一人で歩くのはわけがあった。
そう、あの妙な噂を確認するため…。
今は23時前後、噂では深夜1時58分にあの場所に行かなくてはならない。
噂は所詮噂だと思う…でも、実際起きたら起きたで幸いだと思ってしまう。
もうすぐ横断歩道だ。
信号は…赤。
止まろうとする考えは、そんな事を思っている俺、いや、考え込んでいた俺によってワンテンポ遅れ、視覚障害者用にある黄色い床の凹凸に足を取られてしまった。
前に倒れそうになる。
一瞬にして目の高さが変わった。
このままいけば、鼻血は覚悟しなければならない。
はずだった…
「おぉっと」
聞き慣れた、耳にするだけで嫌になる声を、俺は背後から聞いてしまった。
そして、目の前を幾つもの影が過ぎ去っていくのを見た。
「いいかげん、離せよ」
「あ、ゴメンねぇ」
いつまでも俺を支えてる手に怒りを感じる。
「にしてもお前今日は遅いんだな」
怒りを感じる手の持ち主は、ニコニコとして、他の人から見れば健やかな男子高校生かもしれない。
俺にとってはただただイヤらしく見える。
「予備校だよ…。武人(たけと)こそ、今日はバイトも予備校も休みだろ?何でこんな時間にこんな場所にいるんだよ」
「なんかそれ、いちゃいけないような言い草だな」
武人が笑う。
あぁそうだよ。
なんで隣に立っているのかすらわからない。
早くこの場から、というよりこいつから離れたい。
ふと信号を見ても、まだ点滅すら…
…した。
「じゃあ俺課題あるから、武人も早く帰れよ」
「あぁ、じゃあな隼!また明日学校で!」
はん。お前に明日があったらの話だがな…。
俺は武人に相槌を打つことなく、駆け足でその場を去った。
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