試しの決意

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0158... 俺、相沢 隼(あいざわ しゅん)は高校2年。 来年の大学受験のために予備校に通う模範性。 …俺にだって、消えてなくなってほしい人ぐらいはいるわけで…。 それはとても身近であり、気持ち的には、ほど遠い人物。 夜遅くに終わった気だるい予備校も今は過去。 俺は、いち早く帰宅したかったがために歩行が早くなっていた。 人気は少ないが車の通りが多いこの道。 一人で歩くのはわけがあった。 そう、あの妙な噂を確認するため…。 今は23時前後、噂では深夜1時58分にあの場所に行かなくてはならない。 噂は所詮噂だと思う…でも、実際起きたら起きたで幸いだと思ってしまう。 もうすぐ横断歩道だ。 信号は…赤。 止まろうとする考えは、そんな事を思っている俺、いや、考え込んでいた俺によってワンテンポ遅れ、視覚障害者用にある黄色い床の凹凸に足を取られてしまった。 前に倒れそうになる。 一瞬にして目の高さが変わった。 このままいけば、鼻血は覚悟しなければならない。 はずだった… 「おぉっと」 聞き慣れた、耳にするだけで嫌になる声を、俺は背後から聞いてしまった。 そして、目の前を幾つもの影が過ぎ去っていくのを見た。 「いいかげん、離せよ」 「あ、ゴメンねぇ」 いつまでも俺を支えてる手に怒りを感じる。 「にしてもお前今日は遅いんだな」 怒りを感じる手の持ち主は、ニコニコとして、他の人から見れば健やかな男子高校生かもしれない。 俺にとってはただただイヤらしく見える。 「予備校だよ…。武人(たけと)こそ、今日はバイトも予備校も休みだろ?何でこんな時間にこんな場所にいるんだよ」 「なんかそれ、いちゃいけないような言い草だな」 武人が笑う。 あぁそうだよ。 なんで隣に立っているのかすらわからない。 早くこの場から、というよりこいつから離れたい。 ふと信号を見ても、まだ点滅すら… …した。 「じゃあ俺課題あるから、武人も早く帰れよ」 「あぁ、じゃあな隼!また明日学校で!」 はん。お前に明日があったらの話だがな…。 俺は武人に相槌を打つことなく、駆け足でその場を去った。
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