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「しぃまったぁ!!」
「やかまし」
ゴスッと鈍い音を立て、颯希から拳骨を頂く聡吏。
「──ぁう…いちゃ…」
「人がせっかくの休みにわざわざ来たというのに、いきなり叫んでんじゃねぇ」
頭を押さえ涙目になっている聡吏を上から凄む。
「ごめなさ…」
「お前は紗浬か」
2歳児並の謝り方と言いたいのだろう。
「で、どうした」
「あ、いや、あの…まだ楓さんに会ってないなぁ…って…」
バチィン!!
颯希の最強デコピンが聡吏の額にクリーンヒット!
かなり痛かったらしく、声にならない悲鳴を上げている。
「あれから1週間以上は経つよな。楓さんに会いに行くって言ってなかったか?」
実は篤樹から報告を受けてから約1ヶ月は経っていた。
そして、1週間ほど前に颯希にそのことを話したばかりだ。
あの時、聡吏は確かに楓に会うと言っていた。
なのにまだ会ってない、とは…?
「うん、説明しようか、聡吏くん」
笑顔だが、誰がどう見てもどす黒い笑顔だ。
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