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「…ねぇ、楓さん…まだ間に合うかな…」
言っている意味がわからず首を傾げれば、涙を流しながらもしっかりと楓を見てくる。
「楓さんを好きな気持ちは変わらない…アイツの話を聞く前はただ…憎かったけど…でも、それは…愛情の裏返しだって…気づいたから…」
楓の目に涙が浮かぶ。
限界だった。
目の前で一生懸命に話す愛しい人が、自分を忘れないでいてくれたことが何よりも嬉しくて…
「こんなにも誰かを好きになったのは初めてだし…楓さんといると、いろんなことを知ることができるから…」
言わなければいけない言葉があるけれど、なかなか言えずにいるのは怖いから。
話を聞いてくれているからと言って、言わなければいけない言葉を言った時、楓はどう返事をしてくるのか…
「今さらだけどさ…」
楓は何も言ってくれないから、怖くて自然と口調が早くなってしまう。
「俺、楓さんの側にいたい。離れたくないから…そりゃ、俺はまだ高校生で進路も決まってないし、この先の未来を永遠に約束はできないけど…けど!誰よりも側にいてほしいのは楓さんだから!」
口を閉ざしたままの楓は涙が止まらず、それでも聡吏の言葉を必死で聞く。
「経済力なんてないけど…3人で一緒に生きていこうよ…2人を幸せにできんの俺だけだから」
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