19849人が本棚に入れています
本棚に追加
花の姿を確認した龍也は、鋭い視線を花に向ける。
「あ…ごめんなさい。
音が聞こえたがら…」
思わず弁解する花に、龍也は不敵な笑みを浮かべて立ち上がった。
「もしかして…
龍太郎から聞いてる?
俺がピアニストだったってこと」
ゆっくり歩み寄る龍也に、花は若干の恐怖を感じたが、逃げ出すわけにはいかない。
いきなり聞かされたとはいえ、龍也は正真正銘、龍太郎の兄弟なのだ。
不意に、龍也の発言に違和感を感じる。
花は首をかしげた。
「ピアニスト…だった?
今もピアニストなんじゃないの?」
花の言葉に、龍也は明らかに表情を曇らせた。
そして花が入ってきた扉を勢いよく閉める。
限られた空間に、花と龍也、二人きりとなってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!