運命

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口元だけ笑みを浮かべ、花を睨みながら迫りよる龍也に、花は険しい表情で後ずさる。 「そんな警戒しないでよ。 義理だけど兄妹だろ?」 「別に…警戒なんか…」 すると突然、龍也は花の腕をグイッと引き寄せ、胸ぐらをつかんだ。 「バカにしてんのか? お前。 あんな演奏聴いて、プロのピアニストだと思う方がおかしいだろ」 確かに龍也の演奏は、どことなく自信に欠けていて、素人の花が聴いても弱々しかった。 その上、指を絡ませ、途中で止まってしまったのだ。
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