19850人が本棚に入れています
本棚に追加
龍也はしばらく動きを止めたのち、思い切り立ち上がり、花に背を向けた。
肩がかすかに震えている。
花はゆっくり起き上がり、服の乱れを直した。
「…龍也さ…」
「龍太郎を社長にしたいって気持ちは分かるけどな。
もう決まったんだ。
こうなる運命だったんだよ」
一切花の顔を見ずに、はっきりと言い放つ龍也の言葉を聞いて、ふと前に龍太郎が言った言葉を思い出す。
龍也はピアニストとしての道を。
龍太郎は跡取りの道を。
こうなる運命だったのだと。
果たして、龍也が跡取りとなることが本当に正しい道なのだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!