運命

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龍也はしばらく動きを止めたのち、思い切り立ち上がり、花に背を向けた。 肩がかすかに震えている。 花はゆっくり起き上がり、服の乱れを直した。 「…龍也さ…」 「龍太郎を社長にしたいって気持ちは分かるけどな。 もう決まったんだ。 こうなる運命だったんだよ」 一切花の顔を見ずに、はっきりと言い放つ龍也の言葉を聞いて、ふと前に龍太郎が言った言葉を思い出す。 龍也はピアニストとしての道を。 龍太郎は跡取りの道を。 こうなる運命だったのだと。 果たして、龍也が跡取りとなることが本当に正しい道なのだろうか。
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