運命

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「…龍也さん。 龍太郎はね? もう神谷商事には残らない」 花の言葉に、龍也が怪訝そうにゆっくりと振り返った。 「何だって?」 「龍太郎は、跡取りの地位をあきらめたの。 神谷商事で今まで通り働くことも出来るのに、それさえもしないって… 同情されて出世しても意味がないから」 「……」 押し黙る龍也に、花は優しく微笑みかけた。 「龍太郎は自分のするべきことをしっかり見てる。 自分では動かせないことも…。 だから…龍也さんも自分の道が分かってるなら突き進んでほしいの。 それが動かせないことなら… どうか適当なことはしないで」
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