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「俺の気まぐれだって…言いたいんだろ?
そんなこと分かってる」
鼻で笑いながら言う龍也に、龍太郎はまだ睨みをきかせている。
「…オヤジが俺に、会社についての経営学を勉強しろって言った時。
本気でお前を恨んだよ。
何もかも俺に丸投げして好き勝手やってるお前を…
でもな。
夢を見つけて走り出したお前に追いつくために、俺は逃げ出さなかった」
その瞬間、誰もがうつむいていた顔を龍太郎に向けた。
龍太郎が努力できたのは、龍也を見返すためじゃなく…龍也に追いつくためだったのだ。
「夢も、生きる希望もない俺に与えられたチャンスだと思えたんだ。
俺も…お前みたいに輝けたらって…」
龍太郎は右手で額を押さえながら、ふらふらとソファに腰を下ろした。
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