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「龍也。
これは神谷商事の社長としての考えだ。
私は、神谷龍太郎という逸材を手放すわけにはいかない。
こいつ以外に神谷商事を任せることは出来ない。
こいつは…
努力で天性を覆したんだ。
…運命なんて存在しない。
努力で人生何とでも転がるものだ」
知らぬ間に花の瞳からは涙が溢れていた。
これは、父親が龍太郎を気づかって下した判断ではない。
龍太郎の努力が、社長に認められた瞬間なのだ。
握りしめる花の手を、龍太郎は強く握り返す。
しばらく無表情で黙っていた龍也が、フッと微笑んだ。
「…努力で人生なんて何とでも転がるか…
だったら…
俺も自分の道を極めることが出来るのかな」
「当然だ。
お前は私の息子だろう?」
父親の微笑みに、龍也の瞳からは涙がこぼれ落ちた。
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