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「じゃあ由香里、今日はごめん!埋め合わせはまた今度するから!!おつかれ♪」
花は由香里に手を振り、小走りで更衣室をあとにした。
残された由香里はまたも深いため息をつき、心底花の盲目ぶりに呆れかえった。
花は履き慣れたヒールをカツカツ慣らしながら、走り、たまたま来た電車に飛び乗った。
フーッと一息ついて、カバンから手鏡を出し、髪型、メイクをチェックする。
弘樹に会うのは一週間ぶりだ。
先週も弘樹からの電話で、由香里との先約を裏切って会いに行った。
そんな自分にとことん嫌気がさすが、弘樹の誘いを断ると、二度と会えないのではないかという不安が拭いきれないのだ。
今までの恋愛すべてがこうだった。変わり映えしない自分に、花は軽くため息をついた。
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