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花は玄関でヒールを脱ぎ、弘樹の後についてリビングへと入った。
「弘樹の部屋に入るの、二回目だ」
花が相変わらずだだっ広い部屋を見渡しながら言った。
弘樹は花より3つ年上の25歳。ネット関係の仕事をしているらしく、金には不自由していないようだった。
見た目も悪くない。
クールで口数の少ないこの男に、手を握られ好きだと耳元でささやかれれば、落ちない女はいないだろう。
事実、それで落ちた女がここにいる…。
花はリビングの真っ白なソファに荷物を置いて、再び部屋を見渡した。
男の住む部屋とは思えぬほど片付けられた部屋に、女の影が潜んでいるのは同居しているらしい姉の存在だろう。
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