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学年主任は続ける。
「職員室に通じる戸は校長先生が出て来てからは誰も出入りしていない。そして廊下側の戸も、お前が来るまで誰も出入りしていない!!」
「僕が先生の机に放火してなんのメリットがあるんです?」
「通知表だ。お前、一学期の成績がかんばしくなかったそうじゃないか」
(なんで知ってんだよ……)
確かに自慢できるような成績ではない。
赤点さえなかったものの、通知表に4や5が一つもないことは請け合える……けど!!
「こんなバレバレの放火する人間がどこにいますか!? てか、僕はそこまで成績気にしてませんし、仮にそうだったとしても、そこにある通知表を燃やしたところで、今更僕の成績が変わるわけでもないでしょう!!」
僕は現役高校生としては少々問題のある反論をした。
が、学年主任には通用しない。
「最近の子供は、出来心でとんでもないことをしでかすからな」
通知表が返って来るのを恐れてる僕。
そんな僕が校長室に入ると中には誰もおらず、机には通知表が積み上げてある。
幸か不幸か周囲に人の気配はない。
(これさえなければ、僕は解放される!!)
悪魔の囁きのままに、僕は机に置かれたマッチを――
。
「ないないないないないないない!!」
僕はそんな学年主任の空想を打ち消した。
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