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『…家族はどこ?直ぐに呼んできて…確認とるから』
今井先生は笹原さんの顔をジッと見つめ静かに口を開いた。
『はい…』
私は小さく頷き早足で救急処置室の自働ドアを開けた。
扉が開く途中、直ぐ前の長椅子に座っている息子さんの姿が目に飛び込んできた。
『笹原さん、医師からの説明がありますのでこちらへどうぞ…』
息子さんは私が近づく足音で、うつ向く顔をハッと上げた。
そして黙って立ち上がると
『はい、…お願いします』
待ち合いで座っていた時と変わらない表情でそう答えた。
今も蘇生法を続ける処置室へと戻ると、私は今井先生に代わり心臓マッサージを始める。
『笹原よしこさんの息子さんですか?
私は内科の今井です。まず現在の笹原よしこさんの容態ですが…』
今井先生は白衣のポケットからペンライトを取り出し、横たわる笹原さんの頭側に回った。
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