車椅子の老婆

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そして…   蘇生法を行っても全く反応が見られなかった事   既に心臓と肺の機能が失われて時間が経過している事   脳死は確実で残された挿管を行っても蘇生は難しい事…それらを息子さんに伝え   『どうしますか?…このまま蘇生法を続けますか?』   静かに最後の確認をした。     すると、ずっと頷きながら静かに説明を聞いていた息子さんは首を横に振り   『もう続けないでいいです。このまま家に連れて帰ります…葬儀やも決まってますから迎えに来てもらいます。 お世話になりました』     そう淡々と話すと軽く頭を下げた。     私達はその息子さんの表情1つ変えない姿に驚きながらも、先生の指示により笹原さんのますます冷たくなる体から手を静かに離した。   心臓マッサージの振動で「ピッ ピッ ピッ ピッ」と音を鳴らしていたモニターは 私の手が胸元から離れたと同時に 「ピーーーー…」と無情な音を鳴り響かせていた…。
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