胸に咲く桜

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週に3日、私は一般の外来フロアから渡り廊下で繋がる、レディース外来フロアで勤務をしている。 このフロアには、婦人科と乳腺外科の2科の外来が配置され、女性専用の外来として日々多くの女性患者さんが来院される。 私が担当するのは乳腺外科。 主に、乳がん検診で精密検査が必要とされた人と、既に乳がんの手術を終え、ホルモン剤治療や放射線治療、抗がん剤治療をおこなっている人が通院されている。 「櫻井さん、宮脇さんの採血結果がでたから呼んでるんだけど、診察室に入ってこないんだ。宮脇さん待合にいないのかな?」 先生が、机の上に置かれた電子カルテに打ち込みしながら私に問う。 「えっ?宮脇さんなら待合にいましたよ」 私は自分専用として使用しているノートパソコン(電子カルテ)を覗き込み、宮脇さんの診察番号が電子掲示板に表示されてるのを確認する。 そして、宮脇さんの名前の下にズラリと並ぶ予約患者さんの名前に目が止まった。 梅田さん・・・酒井さん・・・ ・・・なるほどね。
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