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「放射線・・・ですか?それは、この再発した腫瘍に直接照射するってことですか?」
宮脇さんは眉を寄せ首を傾げた。
「はい、腫瘍めがけてピンポイントに照射します。今回は数回に分けて行い、X線の切断作用でがん細胞を選択的に壊死(えし)させる方法を考えてます」
「・・・あの、壊死させるって、腐らせるって事ですよね?壊死させた腫瘍はどうなるんですか?」
「壊死した細胞は剥がれ落ちていきます。新しい皮膚ができるのを助けるために、自然と剥がれ落ちるのを待たず、受診した際に少しづつ切り落としていくつもりですが・・・」
「切り落としていく!?それ、痛いんじゃないですか!?」
淡々と説明を続ける先生の言葉を遮るように、肩を縮めて宮脇さんが声を裏返えした。
「だっ、大丈夫です!腐っちゃった皮膚には感覚がありませんから。痛くないです!ねっ、先生」
私は咄嗟に、怯えた表情を見せる宮脇さんに声をかける。
もう!
剥がれ落ちるとか、切り落とすとか、そんな言葉を選んだら患者さんが怖がるに決まってんじゃん!
ったく、このドSドクターがっ!!
サバサバした性格から、ナースの間で「ドクターS」と呼ばれる西島先生に同意を求める視線を飛ばす。
「その通り。痛くないから大丈夫」
私の強迫的な視線に気づいたかは不明だが、うんうんと頷きニッコリ笑った。
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