冬の雨

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あれから2年間、健一はただ生活の為に会社に行き、 やる気を出すでもなく与えられた仕事をこなし、 家に帰ればただただ酒を煽り、 休みの日といえば缶ビールを片手にテレビを観るでもなくただただ眺めていた。 2年間死んだように生き、生きているように死んでいたのだ。 別れた妻とはなんの連絡も取っていない。 10歳になったはずの娘にも会っていない。 娘に会いたい気持ちはあった。 会おうとすれば会えただろう。 でも彼はそうしなかった。 と、言うよりもなにもしなかった。
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