アンタとアタシ

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彼の唇がアタシに触れる。 アタシはもうそれだけでクチュクチュいって。 そんな自分が嫌になる。   「気持ちいーい?」   「…っつ…こんなの…っ、違うっ…。」   「なんで。超嬉しそうじゃんお前の体。」   「それでも…っつ」   アタシはもうすぐ東京で。 アンタとは違う道を行くんだ。   「もっと沢山、イカせてやるよ」   嬉しそうね。 アタシは遠くへ行くの。 ねえ、分かってる…?   「ピクニックに行きたい」   「はぁ?…いきなり何だよ」   「海でも良い」   「……そのうち、な」   曖昧な返事で。アナタはまた、アタシの乳房を弄ぶ。   「もう、嫌だ……何で、」   駄目だ。泣きそう。   お別れなのに。 喧嘩なんかしたくないのに。   「何で…いつもせっかく会ってんのに…セックスばっかなのっ…」   アタシはもう、泣いてた。   「お前、セックス嫌いだったっけ?」   キョトンとした顔。 アタシの涙に手、止まっちゃった。   「…馬鹿っ…嫌いじゃないわよっ…嫌いなワケ、無いじゃない!」   「でも泣いてんじゃん」   「っ……これはっ…」   「じゃあ、俺の事嫌いになった?」   「…違っ………」   「良かった」   そんで、アンタはニコってする。……あぁ、反則。   気付いた時にはいつも通りアタシはトロトロになってて、部屋はムワッとした空気。 産まれたまんまの姿でアンタは隣で煙草吸ってた。   「思い出が欲しかったんだ、アタシ。」   「ふぅん…」   そっけない返事。   「だから。セックスだけじゃなくて、もっともっと、アンタと色んな事したかった」   「なんだ。そんな事か」   ヤダ。また泣きそう。   「アタシ、ホントに行っちゃうんだよ?」   我ながら、情けないセリフ。   「知ってる。」   「なら…っ…」   ジュって、火が消える音がした。気付けば顔が近くにあって。  
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