マロングラッセ

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二度目はネズミちゃんも、その場に居た。友人達も居た。ネズミちゃんが半眼になって冷たく失笑した。「あんた、また間違えた。それ俺じゃない」あ!と思った時には周りから笑いと非難の嵐(笑)「ひで~」「前も間違えたよね?何で?」こっちが聞きたいわ!何で元彼の好物を現夫の好物として認識してるのか!謎だ…今ん所、三度目はないが、私の恥ずべき汚点として人生に登録してある。何をもってしても覆らない私のオオボケ。けれどネズミちゃんはす~ぐ忘れるから『マロングラッセ』が言葉の武器として登場したことは未だかつてない。私をやりこめることが100%できる貴重な切り札『マロングラッセ』…彼がそれを活用する日は多分、来ない(笑)自分のオオボケを発表しつつも、オチがネズミちゃんではフォローになってない気がしてきた。う~ん、う~ん、彼の得意分野。得意…ネズミちゃんが輝く分野。他の追随を許さない彼の得意分野…ひとつある。嫌だけどひとつ。それは『クレーム』だ。彼はよく憤る。野菜が腐っていた、果物が腐っていた、コメに虫が発生した、髪の毛が入っていた、トレーナー購入時にレジの店員がハンガーを首の部分から強引に引っ張り抜こうとした、新聞勧誘に来た販売員の態度がとても横柄だった、扇屋でジンジャーエールを頼んだらオーダーを通された側の店員が奥で『は?ジンジャ~?』とデカイ声で馬鹿にした、宅配のドライバーが生物(なまもの)と記入漏れしたあげく勝手に返送した、市バスにかぶせられた等、良くも悪くも彼が付けたクレームは様々ある。またそういう時に限って頭の回転が早い!話の段取り、道筋、もっていき方、静かに時に怒鳴り、下っぱでは太刀打ち出来ない奴になる。もし私が苦情処理係なのであれば、彼の逆鱗ポイントを知っているから扱いはチョロイものだ。実際、彼が付けるクレームは正しい事が多い。中には「…いいじゃん、そんなの。気にしなくても」という事もある。しかし彼の言い分が正しいクレームならば、相手はそれに合わせた然るべき対応をすればよいのだ。物品や金品目当てではないクレームなのだから。それさえキチンとしていれば彼は納得し「気をつけて下さいね」で済む。しかし相手もしくはメーカー及び店側が少しでも彼を見くびって甘っちょろい対応をした日にゃ~まず間違いなくエライ事態へと発展する。彼は知っているのだ。下の奴と話してダメなら上を引きずり出せ…という公式を。
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