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時雨の顔がいきなり赤面に変わるとバッと資料をテーブルに叩き付けた。
「あれぇ、どうしはったんですか~?
昔の部下のリストを調べても何もおかしな事はないんちゃいます?
あぁ、もしかして隊長、その人が好きな」
からかうかぐやに時雨の顔はさらに赤く熟していく。
「な、な、な、な、な、な、何を言っているんだ、かぐや。
わ、私が部下に恋愛感情をい、抱くはずないではないか。」
「隊長、隠す気ありますん?」
「ッ!?」
時雨は、熟された顔がさらに赤く染まるとぶっきらぼうにかぐやを睨(ニラ)んだ。
「かぐや、無駄話はここでおしまいだ!!」
時雨が怒鳴るように叱り付けるが、かぐやの表情に変化はなくお茶らける。
「けど、気になりますわ。ケロベロスは上り株の強力な能力者ですけど、すでに住職したラッキーボーイと資料を見比べる必要性に一応、興味が沸きまして。
もしや、時雨隊長がこんな夜更けまで調べる理由とはケロベロスに何やら深い思い入れでも?」
時雨はグッと唸(ウナ)ると再びかぐやに怒鳴った。
「わかっているくせに、いけしゃあしゃあと訊くんじゃない!
そんなことはどうでもいいから、早く例の事件の話をしろ!
少女誘拐の概要をだ。
お前はそのために調査をしに行ったんだろ!!」
怒鳴られたかぐやは、クスリといたずらっぽく笑いながら懐(フトコロ)から手帳を一冊取り出した。
「そない怒らんでも。
まぁ、ええかな。
えーと、2007年08月27日、深夜の二時ごろに未確認の強力な魔力反応が察知されました。」
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