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「健吾君おはよー!今日は部紹介がある日だよね、何に入るか決めたりした?」
昨日の入学式が終わり、今日から高校生活が始まるけど…今日は授業はやらずに部紹介だとか何だとかいろいろやるらしい。
何だか楽しそうに質問してきた葵さん。俺は少しテンション低めに答えた。
「別に決めてないよ、てか部活に入るかどうかも分かんないし」
「えぇ~!どうして?私てっきり野球部に入るもんだとばっかり思ってたのに」
「…野球」
野球は…もうあんな思いは…したくない…。
「健吾…君?…どうかしたの?」
葵さんの方を見ると、心配した表情をしている。誰かにこんな顔をしてもらいたくない。
だから俺は笑って答えた。
「あ、いやごめん。少しぼ~っとしてただけだから。俺一応中学の時に野球部に入部しててさ、でも全然活躍できなくて、何か途中から惨めになって1年ちょっとで辞めちゃったんだ。だから、野球部には入部しないよ」
「そ、そうなんだ。ごめん、私何も知らずにいい加減なこと言って…」
「べ、別に気にしてないよ」
や、やっぱり葵さん心配してた。何か気を遣わせちゃったし、他の話題を…。
その時、丁度瑞原君が教室に入ってきた。
「あ、葵さん。今入ってきた瑞原君は絶対野球部に入るよ、野球推薦で入学してきたから」
「…ふぅ~ん、そうなんだ」
いつもの葵さんらしからぬ、弱々しい返事が返ってきた。気まずい、気まずすぎる…。
困り果ててテンパっていると、意外な人物が話しかけてきた。
「おっす!桐崎!何か入る部活決めたか?」
「…!…瑞原君!?」
本当に驚いた。中学の時、少しは同じ部活にいたけれど、こんな風に普通に話しかけられるなんてことは1回もなかった。
「なに君づけで呼んでんだよ。瑞原!でも、巧!でも好きに呼べって」
「えぇ!?」
何なんだこのノリ。もう訳が分からない…。
「二人は普通に友達なの?」
俺達のやりとりを見て気になったのだろう、葵さんが訊いてきた。
「友達なんてもんじゃないない!むしろ親友だって!な?桐崎」
「え?いや初耳なんだけど…」
「かぁ~!そんなん気にするなって!空気読んでけって、空気を」
「…いやいや」
他愛もない会話をしているうちに先生が入ってきた。
「お~い瑞原、何やってんだ?早く席に着け」
「は~い!じゃ桐崎また後でな」
瑞原君が席に着くと朝のホームルームが始まった…。
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