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先生の介入があったせいか、瑞原君は少し機嫌を悪くしながら片付けをしている。
片付けを終えた時、瑞原君が俺に声をかけた…。
「なぁ桐崎。お前ライトなんて守ってないでさ、ピッチャーやれよ」
俺はこの言葉を聞いてから、二ヶ月もしないうちに…野球部を辞めた…。
正直ピッチャーとしてやっていく自信がなかった。瑞原君にそう言われても自分を信じることはできなかった。
それは高校生となった今でも変わってない…。
「…無理だよ。俺が高校野球なんて、ましてやピッチャーなんて…」
「無理なもんか!お前は気付いてないだけなんだよ!お前は…」
「いい加減にしろよ!俺の気持ちも知らないで!…勝手なこと言うなよ!!…瑞原君には分かんないだろ!!好きなことをしてるのに笑顔になれない奴の気持ちなんて…もう嫌なんだよ…そんなの…」
「…桐崎」
「…健吾…君」
涙を必死にこらえている自分を瑞原君と葵さんが見ている。
俺はこれ以上情けない姿を二人に見せたくなくて、勢い良く教室を飛び出した…。
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