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気付けば走っていた。
もうほとんど生徒の居ない廊下を滑るように曲がって階段をかけあがりやっと来た。
不思議な雰囲気を漂わすこの『理科室』
気が付けば陽は暮れていて校内も薄暗い。
僕は震える手で鍵を持ち鍵穴へ鍵を入れドアを開けた。
重く鈍い音がするドアを開けて開いた理科室のドア。
理科室の奥にはドアがあり、そのドアは準備室となっている。
僕の目的はその準備室に行くこと。
緊張しながらドアを開けた。
ドアを開けると真っ暗なカーテンで締め切られており、僕の瞳は焼けるように熱くなった。
その部屋の奥に僕の会いたかった人体模型は居た。
僕が一番会いたかった人体模型。
その横の棚にはもう原型の分からない生き物がビンに収められており、僕の胸はかきみだされた。
感動としか言いようが無かった。
とても落ち着く。
僕はその狭い部屋の地べたに座り込んで部屋を見渡す。
目を閉じたら何かに襲われそうなスリル感が堪らない。
今までにこんな安らげる場所には巡り合えなかった。
僕の居場所など無くて何処に居ても疎外感を感じて苦しかった。
今は違う。
出会ってしまったのだ。
静かにしている僕に突然嫌な予感がした。
遠くで足音が聞こえる。
きっと先生だ。
先生が来る。
階段を登る足音に焦る。
僕は必死に走り理科室を締め直ぐ前にあるトイレの一番奥に小さくなってドアは締めずに隠れた。
ドアが締まればきっと見つかってしまう。
足音が近づき声が近くなった。
必死に息を殺す。
先生は理科室の前で
閉まったドアを確認しまた去って行く。
悪いと思いながらも僕は先生のせいにしてしまえと思った。
まだ油断はならない。
また先生が来たらどうすればいいか。
もう来ないでくれと必死に願い僕はトイレを出てまた理科室へと入り、今度は中から鍵をした。
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