みちあふるままに

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そんな中、只一人ステージ衣装に身を包み、棺の前に立ちつくす少女が居た。       彼女の名前は天海春香。昨今女王様系アイドル"ハルカ"として有名な人間である。 彼女は以前765プロに所属しており、彼の担当したアイドルでもあった。 訃報が彼女の元に送られた時、彼女はステージの上に居た。その後既に通夜は終わっていたが、この場に来たのであった。 彼女はここに来てから今まで微動だにせず、棺の中のかつてのプロデューサーを見つめていた。     そこに表情はなく、黒い衣装は言わば喪服。その姿は壊れた人形のようであった。     本来なら、誰かが彼女に声をかけるであろう。 しかし誰一人としてそうしなかった。 全員、かつての彼女と彼の関係を知っている。ただのアイドルとプロデューサーとしてだけでなく。
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