57人が本棚に入れています
本棚に追加
ー ドッグファイト(近接戦闘) ー
さて… お互いの素性は分かった
「名刺交換」は終わったが問題はここからである
あらゆる条件で状況が不利な事だ こちらには「身長」「体重」「アホほどあるパワー」しか優勢はない 距離は5mちょっと…正規戦なら(あくまで自主購入して装備する)サバイバルナイフや切り札の64式小銃で対抗するが…
現時点では女は拳銃を所持している可能性がある
22口径では威力不足…最低でも38口径だろうがこの口径ならば撃てば女の筋力では支えきれず必ず隙が生まれる
西部劇のガンファイトは「銃を抜く」「狙う」「撃つ」動作で最速0.3秒だ
低い姿勢のタックルで銃弾を回避しマウントポジションを考えたが回避の可能性より横で座っている彼女が被弾する可能性が高い事を何よりも憂慮しなければならない
女がバッグに手をかける…開ける寸前で止めた サングラスの中からの視線はこちらを向いた「やる気」だ
この時ほとんど何も考えていない…あるのは「敵意と闘争心」だけ
こうなれば撤退のオプションは皆無
左手は吊革をつかむフリだが右は渾身の右ストレートの選択で挑む
恐らく相手は眉間か心臓を狙う
ボクシングの練習の際 いつもフィニッシュは「撃てぇ」と気合いでストレートを叩き込むが1発目がフィニッシュになる…お互いが構えてから何分も経過したように感じた
仮にこの時に別の工作員などがいても気付く事はない
「やられたら乗客も危険」「1発で仕留める」と思った
そして…「行くぞ」と思った
その時予想しない方向から声をかけられた
最初のコメントを投稿しよう!