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この時、機長は20mmの凶弾に顔面を撃ち抜かれていた。
しかし、顔の無い機長の横、若い副操縦士が青い顔をして、目の前の操縦桿を目一杯引いたのだ。
しかしながら、隔壁に区切られた向こうの隊員達は、そんな事実を知る由もなく、そのグリーンランプに従って空中に飛び降りていく。
ジャックもそう。
しかも彼は先頭で跳んだ。
「なんでもいい!早く飛べぇっ!!」
隊長の怒声が響き、部下は全てに怯えながら闇にその体をなげうつ。
ジャックはパラが開いて、内臓が下に飛び出しそうな感覚をおぼえると、暗くて見えない地面を見つめながらパラを絞っていった。
闇の中では感覚が曖昧になる。
胸に縛り付けたバッグに遮られた視界には上空に向かって弧を描く対空砲の美しいラインと、もう既に役目を終えて炎に包まれていた輸送機の残骸が所々に見受けられていた。
高度が下がるにつれ、地面が草に覆われていることを突然に知った彼は、一気にパラを引ききる。
速度が一気に落ちて、訓練通りに足から受け身をとるように着地した。
パラシュートが策に引っ掛かり、舌打ちをした彼ではあったが、腰からナイフをとって直ぐにラインを断ち切って面倒は無くなった。
重いバッグをバラバラに外し、地面に置くと、それぞれ纏めてリュックサックに詰め込む。
弾やライフル、ハンドガン。
ガンオイルもそう。
また、雨合羽や下着の代え、靴下、コンパス、地図。
双眼鏡、ナイフや裁縫セット、医療キットの数々。
食料もそうだし、飲料水やそのカップ。
更に彼の特徴である、ライフルスコープ…
そう、ジャック軍曹は狙撃手なのだ。
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