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いよいよ大阪から出る事になったポチ。
自分を変えたい。変わらなくてはいけない。そんな思いを胸に、滋賀の地で生活を始めました。
初めての一人暮らし。
浮かれまくり。
「なんでもやりたい放題なんじゃね?自由最高!!」
まず始めに彼がやってみた事。それは。
眉ぞり。
一回細くしてみたかったんよ。
それから
半身浴。
みんな家族はいつもいっぱいお湯入れてたんやもん。
そして最大のイベントが
風呂で漫画を読む。
最高に楽しかった。
でも楽しい事ばかりでもありません。
彼は貧乏でした。
家から出たはずなのに、なぜか家に家賃を入れる暮らし。
……理不尽やなぁ。
「男の料理を極めるんや!」
そんな気持ちで持ってきた料理道具も役に立ちません。
……キッチンが無いってどういう事やねん。
一人寂しく部屋でコンビニ弁当を食べる日々。
滋賀に来たのは自分も合わせて4人だった。
俺だけが極端に若く後はおじさんだった。
みんなで一緒に来たのに、人間関係はサバサバしたもんで、会社終わってからご飯食べに行ったりとかが無かった。
確かに家族はいないから気持ちは楽だった。
でも友達もいないし寂しい。
新しい場所で働いていても、結局する事と言えば大阪の友達に電話。
なかなか新しい環境に馴染めず、友達も出来ず一人で仕事場の休憩室でボーっとしていた日々。
楽しそうに会話しているのを横目で見ながら
「楽しそうやなぁ……。」
と思ってみたり。
……そんなある日。
休憩室で一人、椅子に座って携帯で友達にメール。
ふと気が付けば、周りを人に囲まれていた。
どうやらこの人達の場所らしい。
なんとなく気まずくなり、周りを見渡すと一人椅子にも座らず立っている人がいる。
……これがキッカケかもしれない。
「……よかったら座ります?」
「ありがとう!」
特に何も無く、休憩は終わる。
……まぁこんなもんかな。
……何気ない小さな親切。
『ダサい靴下』の男の世界は、確実に変わり始めていた。
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