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周りが雪に埋まってしまうような年末のある日。
ポチが休憩室で仕事仲間とダラダラしていた時の事。
……どうも誰かに見られているような気がする。
休憩室の外に目を向けると……。
こちらを見ながらなんだかモジモジしている女の子が。
……椅子譲った子や。
休憩時間も終わりに近づいた頃、その子が俺に近付いてきた。
「なぁなぁ。何歳なん?」
……いきなり年齢の話から入るとは失礼な奴だ。
「23やけど。」
「え~!!全然そんな風に見えへんわ!!」
見えへんてなんやねん!老けてて悪かったですね。
「……アドレス教えてくれへんかなぁ?」
……え?俺?俺に言うてますか?
「いいよ。紙ある?番号も書いとくわ。」
……まさか椅子譲ったぐらいで俺にホレたんか?
人には優しくしとくもんやなぁ~。人生何があるかわからんよね。
ってな感じで人生初の逆ナンをされてしまった。
「じゃあまた連絡するわ♪」
彼女は嬉しそうに去っていった。
……どうするよこれ!
一人寂しく過ごす予定やったのにいきなり楽しくなってきましたよ!
その後ドキドキしたまま1日の仕事を終え、帰宅。
……連絡が来ない。
……来ない。
……ドッキリやったんか?
いきなり、電話が鳴った。
「もしもし?」
「あ~繋がった!教えてくれたアドレス間違ってない?全然メール届かんで?」
「え?間違ってた?そんな事ないと思うけどなぁ。」
簡単なアドレスやのに、俺間違えたかなぁ?
「ちょっとどこに送ったか教えてくれる?」
彼女が自分の入力したアドレスを一文字ずつ読み上げる。
@ezwe『d』.ne.jp
……そら届かんやろ。中学生か。
「番号書いてて良かったわ。ところで……名前なんて言うんかなぁ?」
この時点でお互いの関係は『椅子を譲った。譲られた。』でしかなく、名前も知らなかった。
お互い軽く自己紹介をし、電話を切った。
その後しばらくお互いメールのやりとりをしていた。
「暇やから今から遊ぼうか?」
切り出したのは俺。
だが。
彼は貧乏だった。
「所持金五千円しかないねんけどな(笑)」
……誘っておいてタカる気満々。
自分でも最悪やと思うわ(笑)
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