下着ドロボー

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昨日の内から下拵えを済ましていて準備万端。 手料理でもてなすのは初めてだから結構緊張する。 キッチンで料理しているときに振り向くとあたしの料理を待ってくれている人がいるのは凄く嬉しいものだ。 きっとお母さんもこんな気持ちを味わっていたんだなー、と思う。 振り向いたら彼氏と目が合う。 うわっ、恥ずかしいぃ。 エプロン姿とか、料理しているところとか普段見られてない姿を見られるのはなんか照れてしまう。 「なんか手伝おうか」 「いや、いい。大丈夫よ、テレビでも見てなさい」 髪の茶色お兄さんにはお料理のお手伝いなんて無理でしょうから、丁重に断る。 あたしの彼氏は真面目タイプなあたしとは違い、見かけは軽い。 目付きも鋭くて、どことなくヤンキーみたいだ。顔は美形なので文句はない。 でも好きなところは性格だ。ちょっと子供っぽいところはあるけど落ち着いていて優しい。とにかく優しい。 本人いわく女には皆優しいとのことだが、あたしには特に優しいと思う。これってただの自意識過剰かな。 またちらりと見てみるとまたしても目が合う。 こいつもしかしてずっとあたしの方をみているんじゃない?
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