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水。水だ。水がいる。水は何処にあるのだろうか。どこか遠くで、ビルが音を立てて崩れ落ちた。
二人の女の子はつまらない冗談を言い合い何やらくすくすと笑っている。ねえねえ、もしも今空から槍が降ってきたらね、そしたらこの世界の住人がみんな串刺しになって死んじゃうんじゃないかしら。そうなるといいなあ、だって私この世界嫌いだもん。
あなたもそうでしょ? と女の子の一人が僕に向かって言う。僕は返事をせず、水は何処にあるのだろうと考えていた。新たな爆音。
炎はなおも僕の体を燃やし続け、僕の服と皮膚がべっとりくっついて混じり合って、そのうち熱さも感じなくなってきた。それでも喉は渇いていて、たまらなく水が欲しかった。
水が欲しい、と声に出して言ってみたが、何も音は出なかった。喉が焼けているからだ。そのことに気が付くと、息も出来ない事に気が付いた。
僕は苦しくなり、二人の女の子に助けを求めた。
なあに? あたし達を買いたいの? 三万円よ、どう? 遊びたいんでしょ?
違う、と言いたかった。しかし声は出なかった。水を持ってきてほしいだけなのだ。
水が欲しいのね? 渇いてるのね? なら服を脱いで、私のアソコを見て、あなたの求めているものがここに溢れているわ。
違う、そうじゃない、と言いたかった。しかし本当の所はどうなのか、もはや分からなくなってきていた。
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