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「いたぞ!!」
…見付かったか。
「マキ…大丈夫だから俺が守るから…」
マキと呼ばれたまだ幼き少女は胸を押さえ苦しそうに走っている。
「ゴメ…ダメ…みた…何かが私の…中で…イヤァァァ!!!」
少女は絶叫と共にその姿を変貌していく…
背中から真っ赤な血が滴る黒き翼が生え、口は裂け無数の鋭き牙が覗き目も赤黒く染まった。
体もニメートル超の赤黒き鬼の様な筋肉隆々の体になる…
「マ…キ」
恐怖で逃げ出しそうになるのを堪え少女の名前を呼び、ありったけの勇気を振り絞り醜く変貌した愛する少女を震える手で涙ながら力一杯抱きしめた。
「俺だけは!お前の味方だから!だからまた一緒に…」
「…リ…ク…」
少年の名を呼ぶ変わり果てた醜い声の呟きは風切音に掻き消され、何かが地面にゴトリと落ち音と共に真紅の花が辺りに咲き乱れた。
振り返ると血まみれの剣を持つ男がいた…
俺は男を知っている…
勇気ある者…世界を救う者…希望…
―勇者―
「マキィィ!!嘘だぁぁぁぁ!!」
何が勇者だ…勇者ならマキを救ってくれよ!
この日俺は世界の希望に復讐を誓った。
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