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「ツイてねぇ…」
男は突然の土砂降りの雨によりずぶ濡れで、水も滴るドブネズミのようだった。
「俺神様なのに…よし!天候担当の神に頼んで俺がこの町にいる間晴れにして貰おう!」
妄言と思うなかれ彼は百を越える神の内の一人である。
「ダメぇぇっ!!」
「ゲフゥ!?」
その神はいきなりのタックルによる衝撃に倒れ地面にキスをした。
「ぺぺっ!神に一撃入れるとは…何奴!?」
目の前にはピンクのレインコートを来た幼い少女がいた。
「なんだ?お前は」
「おいちゃん!雨止ませちゃ、めー!」
「へ?晴れのがいいだろ?」
そう言うと少女は手を広げくるくるとその場を回り得意げな顔をし、分かった?とでも言いたい風だ。
「…分からん」
「もう!このピンクの母しゃんに買って貰ったの。いいでしょ?」
そう言ってニッコリと笑いかけてきた。
「メグ?行くわよ」
「はぁい」
満面の笑顔で母親らしき女性の元へ水溜まりを踏み鳴らしながら去って行く。
「えぇ!?どゆこと?けどそんな顔されたら…」
その神がいる間町では雨が止む事はなかったそうな。
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