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太陽の暑さで意識が朦朧とする。汗でシャツが張り付く…荒い呼吸…熱気に揺れる景色…
不意にパァンと乾いたミットの音が聞こえ視線を向けると見慣れたキッチャーのデブがいた。
ツーアウト満塁。この一球俺が押さえれば全国優勝。あと一球と皆の声援が飛び交う。
暑い…肩痛い…なんでこんな苦労してんだ…地獄の猛練習…彼女作る暇もない…いるのはいつも一緒にいる憎たらしい笑顔のデブ。
バッターが緊張の面持ちでバットを握る中デブはサインに見せ掛けこちらに人差し指を立てる。
この野郎…俺の中の張り詰めた緊張が解れていく。
デブはいつも言う『この瞬間を楽しめよ相棒』と。栄光かクソッタレかが決まるラスト一球。
「ああ、死ぬほど楽しいぜ」
最後のラブレターだ…受け取れ相棒。渇いた唇を舐め込み上げる笑いを堪えて力一杯振りかぶり投げる。
白球はバットが空を切る音と共にキッチャーミットに収った。審判が声を上げるよりも早く割れんばかりの歓声。そして誰よりも早くデブがこちらに駆け寄り抱き着くと俺の涙腺が崩壊し景色が歪む。
ゲームセットのコールと共に二度とない俺達の最高の夏が終わりを告げた…
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