初恋。

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ある二月の雪の降る冷えきった部屋の中。暖房のきいた湯たんぽ入りの布団の中、僕はインフルエンザにうなされていた。 風呂つき1DK。一人暮らし、彼女なし。以外に、この一人暮らしでのちょっとした病に堪える。 飯もフラフラなのに自炊。暖まりきったアイスノンは自分で変え、汗をかいて変えたシャツを洗うのも自分。この時、強がっていても微妙に…感じる。この寂しさというのを。 自分も24歳。そろそろ結婚も視野に入ってくる年頃、あと二ヶ月後に控えている親友の結婚式の為に、二次会のセッティングやら結婚祝いの資金を切り詰められるとこ(たとえば食費なんか)を切り詰めて貯めて…と、なにかとやっているのだ。 ハァ…私は、涙が出てきそうです。強がらなくてもいいですよね。神様。 そんなとき、ふと目に入ったビニールの袋。 残念ながら、中身は知っていた…。「あっ!そういえばここに。こんなところにあったんだ。」なんていう展開もない。 その袋に入れ、その場所に置いた。紛れもなくビッチリと頭の記憶に残っている。だって、明らかに自分が置いたんだもん! その埃だって、忘れててそこに体積したわけじゃないもんねっ!?俺が触れまいとしていたからこそ体積したものですからぁ~!! 結構な、大きな意味での時限爆弾。それは、若さが描く究極の花園。そう、100%混じりっけなしのキっラキラした青春ラブレターぁ。しかし、自分はその体積させた埃を払い、その禁断の花園への扉を開いていた。あの思い出、あの想いは今でも忘れはしない。 それが多少、いいにしろ、悪いにしろ、自分の恋愛経験を左右しているのかもしれない。 いや、大いに左右しているのかもしれない…。 でなければ、埃を体積させた手紙などは、今頃この部屋にはなかっただろう。 そして、僕はあの、エネルギッシュで青臭かった、だけど、盗んだバイクにもまたがれなく、ママチャリで飛ばして走っていた頃 ギラギラした花園に入っていったのです。
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