夢の中の影… 

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あの話は何年前のことだろうか?   雪がチラホラ舞い落ちていたっけ…そう確か、十年くらい前の、一月のことだったな   仕事初めを終えた、翌々日だったから、七日か八日だったと思う。その日の仕事を終え、徒歩で行ける別の現場でだべってたんだよな   そこの現場の食堂からは、外庭と大きな池が見える。そんな場所でビールを飲みながら、何人かで雑談をしていた   話の中でふと、そこの職場の主任が何気なくこう呟いた   「昨日からさ…総務部の〇〇さんが、無断欠勤してるんだよな」   そこの現場で、担当の窓口の方であり、食堂のお得意様でもある人だ。主任は続けて、   「しかも、家族の方が会社に相談に来てて、仕事初めの日から、帰って来てないらしいで…」   私も顔は知ってたけど、面識はないんで、「そうですか…」とだけ答えて、その話はそれで終了した   その後、しばらく話をしてから、その日はお開きになった。そして、家に帰って、いつも通りに過ごしてから、明日の早番に備えて寝る事にした   そして、事件は起こったのです…     夢を見ているんだろうか…自分は寝てるのに、テレビを眺めている私がいた   テレビの電源は付いてなく、画面は真っ黒だ。部屋も電気はついてなく、こちらも真っ暗だ   そんな部屋で私は、テレビの真っ黒の画面を眺めていた。ん!?その画面に不意に電源が付いたではないか!   画面には、全身が真っ黒だが、確かに人の形をした影と、顔だけは見えないが、スーツを着た男?の二人が映っていた   ノイズも悪く音声も全く聞こえてこないが、スーツの男が全身影の人物から逃げているようだ。よくよく見て見ると、影の右手には包丁が握られているではないか!   スーツの男が逃げて、影が追いかけている…だが、慌てているのか一向に差は拡がらない   それどころか、焦ったスーツの男が蹴躓いて、転倒したではないか。スーツの男はそれでも、なんとか地面を這って、逃げようとしている   だが、追い付いた影がゆっくりと覆い被さると、右手の包丁を振り降ろした!…そして、振り降ろした時と同じように、影はゆっくりと包丁を引き抜いた   その隙に、スーツの男は身を守ろうと、俯せから仰向けになって逃げようとする。だが、それを影は待っていたかのように、右手の包丁をスーツの男の心臓めがけて、振り降ろした!
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