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吹雪が容赦なく吹き付ける大地、そこにたたずむ1つの城………
その城の一室に男が1人立っていた。側には近侍が剣を捧げ持っている。
長く少し光る銀髪に暗赤色の目、金の重鎧をつけている。残酷な笑みを浮かべているようだが、その若い顔には悲哀と怒りが履かれていた。
『なぜ15年も探しておるのにたかだか小僧1人さえ見つけられんのだ』
その男は近侍に尋ねた。
『そ、それは大陸があまりに広く、どこに逃げたのかが解ら……』
『ならば全て武力で叩き潰せ』
男は報告する声を遮る。近待はびくっとして顔を下げた。
『エピタスを滅ぼした私たちなら簡単だろう。奴は確実に生きている。なぜなら奴の母はそいつを抱いてはいなかった。隠したか逃がしたに相違あるまい』
男は窓から近侍に目を移し
『アルファロスを潰してでも奴を見つけ、生け捕りにしろ。私の野望に奴は不可欠だからな』
そう言って高々と笑った。
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