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ホームルームも終わり、各々が楽しげに話しながら教室を出て行く。
萩原がいたなら残って喋る子もいただろうが、彼ならHRの途中で教室を出て行ってしまったため、それもないという訳だ。
私も、上記を期待していたらしくうなだれる千尋と一緒に教室を後にし、昇降口へ向かった。
その途中。
「あれぇ?」
ふいに、何とも気の抜ける声が背後から聞こえてきた。
「……うわ、まさか……」
「京介先生!」
嫌な予感に振り返るのを躊躇っていた私の心情など無視して、なんとも嬉しそうな千尋の声が廊下に響く。
「あ、やっぱり4組の子だ。今から屋上にでも行くの?」
仕方なく振り返った私を見るなり、萩原はイヤミなくらい爽やかに笑った。
隣では、首を傾げている千尋。
「……イヤミですか」
眉間にしわを寄せてそう漏らせば、萩原は楽しそうに声を上げた。
――むかつく。
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