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案の定、千尋は分かったと言って急いで教室を出て行った。
小さく溜め息をついて、自分も教室を後にする。
みんな体育館に行ったためか、廊下にはあまり人がいない。
静かな廊下を1人歩き、目的の場所へと通じるドアノブに手をかけ扉を開ければ――。
広がるのは、澄んだ青空。
私が来たのは屋上だ。
こうして授業やら集会やらをサボって一人で屋上に来ることが、密かな習慣だったりする。
基本的に人がいないここは、静かで落ち着くから好きだ。
軽く伸びをして、ドアから離れた場所に寝転ぶ。
そよそよと春風が心地いい。
「このまま寝れそう……」
ウトウトしていると、突然、影に覆われた。
不思議に思い目を開けると。
私の顔を覗き込むようにしゃがんでいる、スーツ姿の知らない男が視界に入った。
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