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見たこともない男の登場に警戒心むき出しにするあたし。
とは逆に、男は一瞬だけきょとんとした後、不適な笑みを浮かべ。
次の瞬間。
「――っ!!?」
何の前触れもなしに、私の腕を掴んできたのだ。
「なっ、何!?」
驚いて振りほどこうとするが、男の力には適わない。
それどころか。
「式に行けば分かるよ」
笑みを浮かべたままそう言って、私の腕を掴んだまま歩き出す。
「ちょっ……式なんか出ないってば! 離せ!」
「サボリは駄目だよ~」
「あんたに関係ないでしょ!」
「いーからいーから」
結局、必死の抵抗も報われることなく、体育館に着いてしまったわけで。
「じゃ、俺はこっちだから」
男はと言えば、体育館の中に入るなりそう言って去って行ってしまったのだった。
「なんなんだよ、あの男……」
その背中を睨み付けた後、仕方なく空いている席に座った。
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