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「某は当たり前のことをしたまででございます。」
「お前を家来に…」
と言いかけて、吉法師は、
「ここに倒れているのは五人、あと一人は如何致した?」
日吉は、はっと我に返り、
「どうしたんでしょう?逃げられたのでしょうか?」
と言うと
「むむむむ…逃がしたのか?猿!その者を逃したのか?」
「いえ、ちょっと探してまいります。」
朝日が昇ってきた。慌てて日吉走ってゆく。ものすごい健脚だ。あっという間に見えなくなった。
吉法師はやっと笑顔になり、
「犬、ご苦労だった。さて、古渡で朝餉にしよう。」
「はっ。」
二人は、馬に跨り、朝日が眩しい街道を駆けていった。
…
こうして、日吉はまた、家来になれなかった。
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