43人が本棚に入れています
本棚に追加
「じいが、やめろというので、これで解散じゃ。皆の者、着物を着て帰れ!」
「えーっ」
少女たちは不満を言い出した。
「お殿様の奥方になれると思ったのに。」
「そこのじいさんが来たせいで…」
「うるさい!余が帰れと言ったら帰れ!」
吉法師が大声で怒鳴ると、少女たちは渋々、着物を着て帰っていった。
一人だけ身なりの良い少女が残っていた。
政秀はまた、目をこすった。今度は顔が真っ青になっていた。
「吉法師様、まさかその方は…」
「余の妹の市である。見ればわかるだろう。今日、古渡城に行ったら、馬に乗りたいと言うので、一緒に乗ってきた。オナゴどもの相撲を見せたら、市もやりたいと言うのでのう。」
おしゃまな市は、吉法師に向かって、
「最後に私が残ったのですから、兄上様のお嫁様には私がなるのでしょう。」
「あっはっはっは。市が嫁か。それも良いのぉ。…ん??じい、兄弟で婚儀はなりませぬと言わないのか?」
「…」
「じい、じい。…。気絶しておる。ショックが強かったみたいだ。市!古渡へ帰るぞ。」
「兄上様、お嫁様の件は…」
「案ずるな、日ノ本一の婿を捜してあげるよ。」
吉法師は、市を馬に乗せ古渡城に送って行った。
最初のコメントを投稿しよう!