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吉法師の父は、織田信秀、母は土田御前と言った。
父も母も古渡城に居るから会うことは滅多に無い。
吉法師は2歳より那古野城の城主になっていた。
政秀が言わば父代わりである。
今日は、珍しく父から呼び出しがあった。
父に会うのは何とも思わなかったが、母に会うのは苦痛だった。
母は弟の信行を可愛がり、自分のことはゴミでも見るような目をした。
口をきいてくれることも稀であった。
母に声をかけて欲しくて、カブキファッションを着たり、奇矯な行動をしたが、状況が変わることは無かった。
だから、古渡城に行くのは気が重い。
平手政秀も呼び出しを受けていた。
煩いじいと一緒に行けば、身なりのこととか説教されるに決まっている。
吉法師は別のルートを行くことにした。
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