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学校というものにまともに通った記憶がない。世間的に言えば不登校だった。 行く意味を見出だせなかった。 小中高と行って待ってたのは下らない話をするクラスメイトに、つまらない授業、綺麗事を押しつける教師。 ――なるほど、確かに何処の担任も熱心に家まで迎えに来て学校へ連れて行こうとした。貴方の為に。と恩着せがましく。下らないから一蹴して追い返した。厄介なことに何度も何度も来たが、居留守を決め込んだ。二、三か月すると諦めたわけじゃないだろうが、しつこくはなくなった。 ―――親は留守なことが多い。俺のことなど気にもせず何かをやってるのだろう。金だけ置いて家にはいない。最近なんか金を置きに家に戻るのが面倒臭いのか振り込まれるようななった。両親共に健在だが、そもそも親について知ってることなど殆どない、職業や血液型、誕生日はどれ一つとして知らない。じいさんやばあさんにもあったことがない。分かるのは夫婦別姓な名前だけ。 加納晴子(かのうはるこ) 嘉山良治(かやまりょうじ) この二人は夫婦でありながら別姓を名乗り、互いを気にせず何処かにいる。   これが俺の家庭事情。 別に不幸なわけじゃないからいいけどな。
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