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「いつもこの公園にいてますよね?」
男は穏やかに話しかけてくる。
「……どなた、ですか?」
怪訝そうに問い掛けると、
「すみません。驚きますよね」
「ただ、いつも寂しそうにここにいらっしゃるので、つい…」
「………別に……。放っておいて下さい」
怪しいと思いつつも、律儀に答えてしまう。
それほどまでに自分は人恋しくなっているのか…。
子供達のはしゃぐ声が聞こえる。
明るく、陽のあたる場所…。
その場所から、自分が離れてしまったのはいつの頃からか。
思い出す事が出来ない…。
僕の瞳には、もう…。
「本当は……、何も見えていらっしゃらないのでしょう?」
「……!?」
「何故……、その事を…?」
見知らぬ男は、何なのか。
核心をつかれて僕はたじろいだ。
「貴方は……一体……?」
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