2755人が本棚に入れています
本棚に追加
今年度初めての文芸部の活動の日がやって来た。
「オレ、国語は得意じゃないからあんまり役に立てないと思うけど、よろしくお願いします。」
幸廷は教壇に立って挨拶した。
「じゃあ、後は任せた。」
と言うと、適当に空いている後ろの席に座った。
「えーっと、今日は今年度の計画を立てようかなと思います……って、何で副部長の私が進めなきゃいけないのよ、悠。」
「ああ、オレこっちやるから~。」
悠は黒板を指した。
悠は女の子なのに一人称は『オレ』で、いわゆる『オレ少女』なのだ。
「もう。」
萌は諦めた。
「今年も去年とは大差ないけど。まず月一回『杏(あんず)』を作って、文化祭には『桃(もも)』を作って売ります。以上です。」
『杏』とは月一回発行する小冊子、『桃』とは年に一回文化祭に合わせて作る部誌の名前だ。
「他に何かあったら言ってくださーい。」
悠がおどけた調子で部員に聞いた。
「では、今年の文化祭の出し物について考えたいと思います。」
話し合いは続いた。
「幸ちゃ……じゃなかった。蓉木先生、どうですか?」
最初のコメントを投稿しよう!