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2年前の夏のある日。
オレはまだ市立柊桐(しゅうとう)高校にいた。
この日は体験入学が行われていた。
ふと、一人の少女に目が止まった。
彼女も体験入学に来た生徒の一人のようだ。
「幸廷(ゆきひろ)、何見てるんだ?」
隣にいるのは同僚の高橋文祈(あやき)。
「いや……何でもないよ。行こう。」
文祈を促して歩き始めた。
誰かに似てるような気がするんだけど、もう思い出せなかった。
これが運命の出会いとなることなど、この時のオレは知らなかった。
そう、知らなかったんだ。
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