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『…………。』
僕はただ無言で窓の外を見つめていた。
目の前の道路を通り過ぎていく車、友達と話ながら楽しそうに歩く学生、手を繋ぎ幸せそうに歩く恋人達…。
全てが自分と違う世界のものに見えた。
彼等はきっと恋人と結婚し温かい家庭を築き幸せな人生を送るのだろう…
あの人はきっと……。
あの人は……。
あの小さい子は…。
あの女の子は……。
僕の楽しみはいつしか病院の窓から見える人たちのその後を想像したりする事だけになっていた。
入院当初の時は友達も毎日の様に来てくれた。
僕が飽きないようにとゲームや最新の雑誌、漫画などを持ってきては楽しく話していた。
だが、そんな日々は長くは続かない…。
お見舞いに来る人数は徐々に減っていき一人また一人と僕の“部屋”には人が訪れなくなった…。
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